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イチャイチャ・・・・とした話を目指してみました・・・
甘さはたっぷりと大盛りです(遠い目
う~ん予定外(^^;;
修正しました
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「おい・・・」
欠伸混じりの声をかけながらキッチンの扉を開いたゾロは珍しいこともあるもんだと、開けた時とは反対にそっと静かに扉を閉めた。
すうすうと小さな寝息を立てて机に片頬を押し付けるようにして眠っているサンジの姿に微かな笑みが浮かぶ。両腕はだらりと机の上に投げ出され、ゆるく曲げられた右手には万年筆が緩く握られている。寝るつもりはなく書き物をしている最中に寝落ちてしまったという所だろうか。
ゆっくりと出来るだけ音を立てないように机の傍を通り過ぎ、棚に収められている酒瓶を物色し始める。
コックであるサンジが起きていれば勝手に持ち出そうとするゾロにいい顔はしないのだが、本人が寝ているのならば構わないだろうと目に付いた酒を遠慮なく手にする。1本選んで抜き出し、どうせ眠っているのだからともう1本選んで腹巻にしまう。2本持ち出された事に気付いたサンジが後で煩いかもしれないがつまみがない分だとでも言っておけば多少は黙らせることが出来る。
「・・・っぅん」
さて用は済んだとばかりに静かに机の横を通り過ぎようとしてかすかに身じろいだサンジにゾロは息を詰めた。
「起き・・・・てはねぇな」
ほんの少し顔の角度が変わっただけで相変わらずその唇からは小さな寝息が漏れている。
ふと視線を動かせば先程までは緩く手の中で握られていた万年筆が斜めに傾ぎ、今にも机の上に転げ落ちそうになっていた。
「仕方ねぇなあ」
はあっと小さく息を吐き出してゾロはそおっとサンジの手の中で倒れかけていた万年筆を救い出す。軽く机の上に落ちるぐらいなんということもないだろうが机から床に転がってしまう衝撃で万年筆が壊れないとも限らない。それに波の揺れで常に小刻みに揺れる船の床だ。ペンの1本2本転がり棚の隙間にでも入り込んでしまえば見つからないだろう。
「・・・・・」
ゾロはサンジの手から取り上げた万年筆を手にぐるりと狭いメリー号のキッチンを見回した。
せっかく配慮して手にしたペンを何処に置くべきかと視線を巡らせ、その視線が一箇所で止まる。サンジが眠っているベンチ椅子の脇に黒い上着を見つけたのだ。下手な場所に仕舞ってしまえばサンジが使おうとするときに探すだろうと引き出しや棚を避けていたゾロは確実な収納場所だとニヤリと頬を歪めて上着を取り上げる。
「よし、これでいいだろ」
ジャケットの胸ポケットに万年筆を差し、ゾロは満足そうに笑った。この位置ならば床に落とすこともないだろうし、サンジが探すこともないだろう。
静かにジャケットを元の位置に戻し、ゾロは今だ起きる気配のないサンジの姿に少しだけ眉を潜める。
確かに音は立てないように気をつけてはいるがその気配まで消していないのだ。常のサンジであればゾロが酒を収めた棚にたったその気配で目覚めているのだが、今夜はまったく起きる気配がない。
それほど疲れているのならこのまま部屋に連れて行って眠らせてやりたい所だがさすがにゾロがサンジに触れれば起きてしまう可能性が高い。
常日頃睡眠時間の少ないサンジのことだから少し眠れば目が覚めて勝手に部屋に行くかもしれないとゾロは小さく寝息を漏らすその顔を覗き込みかすかに頬を緩める。
「おやすみ、サンジ」
柔らかく囁いてゾロは身体を起こすとそっと静かにキッチンを後にしたのだった。
その数分後、眠っていたと思われていたサンジがのっそりと机から身体を起こした。
「キスしてくれるかと思ったのによお」
無理な姿勢で固まった身体を解しながら耳まで赤く染めたサンジが苦笑交じりにポツリと呟き、ジャケットに戻された万年筆を発見して目を輝かせ嬉しそうに笑った事をゾロは知らない。
~FIN~
2009/11/12 『居眠り』