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2009年ゾロ誕企画(公開期間 2009/11/11~12/31)
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影法師の続きになります。

特殊設定海賊パラレル

ますます捏造部分が増えて原作とは別物になってきていますので、パラレルが苦手な方はごめんなさい(^^;
後日修正として戦闘シーンを書き加えますので、戦闘シーンが不要な方は現時点でDLしてやってくださいね。



SIDE : ゾロ(弟)
---------------------


 耳に届く波の音と、かすかに風に飛ばされて届く水しぶき。程よい緊張感に包まれながら俺は目の前に立つ相手へと視線を向け、ゆっくりと腰の刀へと手を掛けた。




「なあ、ゾロとゾロ。どっちが強いんだ?」
 寝ずの番をこなし、クルーが揃う朝食の席につくなりそう尋ねられて、俺は一瞬意味が分からず眉を潜めた。
「なあなあ、どっちだ?」
 キラキラと輝くルフィの瞳には興味津々と如実に書かれており、その瞳が俺とアニキを交互に見比べ、その時になって漸く言葉の意味に気付いた。
「あ、俺も知りてぇ」
 静かに置かれた目の前の皿から、湯気の上がるソーセージをフォークに突き刺し頬張りながら、ウソップが片手を上げる。チラリと周囲へと向けた視線の先では肯定はしないものの、楽しげなロビンの笑みに出会って俺は小さく溜め息を吐き出した。
「アニ・・・」
「やってみねぇとわかんねぇな」
 隣合わせに座ると目が錯覚を起こしそうというナミの言葉で俺とは真逆のテーブルの端に座っていたアニキの声が俺の言葉を掻き消す。
「そっかあ、わかんねぇのかぁ」
 モグモグと手を休めることなく動かしながら残念そうな声を出したルフィにアニキが笑いながら謝っている。
 サニーに乗り込んで今日で三日目だが、すっかりクルーになじんだアニキの姿に俺はどこか複雑な気持ちを抱きながら、確かにそうかもしれないと曖昧な言葉を口にして食事に取り掛かった。
 シモツキ村で共に剣の道を目指している時、道場で相対した時、俺は・・・・一度もアニキに勝てたことがなかった。アニキは俺達の中で一番強かった。それは例外なく、俺が一度として勝てなかったくいなよりもアニキは強かったのだ。くいなの先にいるアニキを俺はいつも目指していたような気がする。
「う~ん、スーパーカッコイイのを用意してやるぜ!俺様に任せておけ!」
「おう、頼んだ!フランキー!」
 黒髪の友人へと思いを馳せている間に何事かやり取りがあったらしくフランキーが両腕の星を合わせてなにやらポーズを決めている。
「おい、クソ剣士。テメェはいいのかよ?」
「・・あ? 何が?」
 いらついたコックの声に俺は顔を向け、どこか不機嫌そうなその表情に首を傾げる。そんな俺をひと睨みすると、コックの蒼い瞳はテーブルの端へと向かった。
「兄さん、アンタはいいのかよ」
「ああ、俺はかまわねぇ」
 ニヤリと口角を上げて笑ったアニキにコックが何事か言いかけて口を閉じる。
「もう、仕方ないわね。フランキーどれぐらいで出来そう?」
「そうだな、一時間もあれば十分だ」
「ルールはどうする?ゾロ達が怪我しちゃマズイだろ?」
「うーん、でもゾロって刀でしょ、お兄さんも剣士だし、無傷ってわけにはいかないんじゃない?」
「お、おれ、薬いっぱい用意しておくぞ!」
「ヨホホ~そうですねえ。あ、こういうのどうでしょ? お二人とも三刀流のようですし、使える刀は一本だけってのもハンデになっていいんじゃないでしょうか」
「うん、それなら怪我も多少少ないかもしれないわね」
「楽しみだわ」
「うん、楽しみだぞ」
 ワイワイと楽しそうなクルーの様子に、どうやら蚊帳の外のようだが、俺とアニキの試合が組まれたらしいとヤレヤレと心の中で小さく笑う。見世物になる気はないが、ただの試合だと思えば観客も気にならない。
「ちょっと、待て!クソ剣士は昨日不寝番で寝てねぇんだぞ!」
「それがどうした。ゾロには関係ねぇ!」
 コックの言葉にふざけるなと俺が怒鳴るより先にルフィがきっぱりと言い切る。グッと唇を閉じて黙り込んだコックとルフィの間に気まずい空気が流れ、それを断ち切るかのようにフランキーが口を開いた。
「まあまあ、コックの兄ちゃん。別に本気で殺しあうわけじゃなし、これはお遊びみてぇなもんよ」
「・・・・当たり前だ・・・・」
 どこか不貞腐れたようなコックの声にフランキーが肩を竦めて苦笑いを浮かべた。
「ゾロも、ゾロの兄さんもいいって言ってんだ。これに水を差すのは粋な男のすることじゃねえ」
「サンジの負けだな。諦めろ」
 クククと小さく声をあげて笑ったアニキを一瞥して、コックはどこか乱暴な動作で椅子へと腰を降ろした。何がそんなに気に食わないのだと呆れ半分で食事を再開させようと視線をテーブルに戻せば伸びてきた腕が皿の中からソーセージを1本掴んで去っていく。
 ソーセージ強奪を果たした船長に一言抗議してやろうと顔を上げて、俺は小さく息を飲み込んだ。
 てっきり食事に夢中になっているとばかり思っていたルフィの視線が俺へと注がれていたからだ。
「それに・・・」
 じっと注がれるルフィの視線にどこか息苦しさを感じて俺は顔を背けた。
「ゾロは寝てなくて体調が万全じゃねえっていうなら、ゾロのアニキも同じ条件だろ」
 静かなルフィの声に俺は体を揺らすとゆっくりとアニキの方へと顔を向ける。そんな俺の視線にアニキは小さく笑うと手にしていたグラスを煽った。
「まあ、確かに俺も似たようなもんだ」
 苦笑混じりのアニキの言葉に俺は一気に味をなくした料理をグラスの水でなんとか喉へと押し流したのだった。



 フランキーの言葉通り一時間後には俺とアニキが戦う為の場が海の上へと作られていた。



「いくぞ」
「ああ」
 向かい合い、互いの刀へと手を掛ける。
 真っ青な空の下、海鳥が一際高い鳴き声を上げたのを合図に俺は和道一文字をゆっくりと鞘から抜き放ったのだった。


 

SIDE : サンジへ続く

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